コロナウイルスの影響がすごいことになっていますね。
皆様、お変わりないでしょうか。
今日は、写真の編集についてお話しようと思います。
普段写真を撮っていると、編集についてよく聞かれます。
「いつもどうやって編集しているの?」
「使っているソフトは?」
「編集ってどうやればいいの?」
などの質問がほとんどなので、それらに対する回答代わりになるように1記事にまとめます。
みなさんの役に立つ情報が、ほんの少しは混ざっていると信じながら書きます。笑
まず編集のコツについて一言でまとめると、
「編集の明確な目的を持つこと」
これに尽きます。
この言葉は、写真の編集に限った話ではありません。
目的がないまま編集はできません。
目的がないまま編集を始めることは、夕飯のメニューを決めずにスーパーに買い物に来たのと一緒です。
もちろん、その場でいいものを発見してそこから編集をしていくことはできますが、時間もかかるし迷子になりがちです。
まずは目的を明確にすることが大切なんです。
どういうことか。
実際に私が撮った写真を元に解説し、編集の魔法を体験していこうと思います。
編集前の写真
まず、この写真がオリジナルの写真です。
これは一眼レフで撮影後、AdobeのLightroomというソフトで簡単に明るさを調整したものです。
これは、友人の卒業式の記念として撮った写真です。
ここをスタートとし、編集を加えていきます。
色
色の編集は強力です。写真の印象をめちゃくちゃに変えてしまいます。
色の編集は自由度が高すぎて、本当になんでもできてしまいます。
そのため、一番迷子になりやすいポイントとも言えます。
では、この元の写真に対して、VSCO(ヴィスコ)というスマホの無料アプリを利用して色編集をしてみます。
VSCOは、フィルターを選ぶだけで簡単に”それっぽい”写真ができてしまう革命級のアプリです。
まだ使ったことがない、もしくは知らなかった方は是非インストールして使ってみてください!
※VSCOの使い方に関しては、この記事では紹介しません!
それでは、まず適当に、いろんなフィルターをかけてみましょう。
まずこれ、C5フィルター(VSCOのフィルターにはA3とかE2みたいな名前がついています)というものをかけてみたものです。
全体の色味がセピア色っぽくなり、ちょっと古い感じが出ていると思います。
彩度も全体的に低く、和服の緑が目立つようになっています。
写真の印象として立体感も弱いかな?という感じです。
次はこれ。
C4フィルターをかけてみました。
やはり彩度は低く、ちょっと寒さ、静けさを感じるような印象を受けます。
紫っぽさもあり、桜とは相性がよさそうですが、「おめでたさ」は少ないかな?という感じ。
次。
このフィルターでは、肌の色がめちゃくちゃ浮かびあがっているのがわかるでしょうか?
これは、肌以外の場所がめちゃくちゃ青緑っぽくなっているからです。
肌のようなオレンジ色は、青に囲まれるとめちゃくちゃ目立つようになります。
人の肌が浮かび上がっている代わりに、背景の印象はほとんど消えてしまっているのがわかるでしょうか。
そして最後に、これ。
写真全体がやや紫っぽい雰囲気になり、緑が映えています。
肌は元の写真と比べると白っぽくなりつつも、背景には埋もれずにハッキリとしています。
桜も紫な感じがマッチしており、いい感じです。
では、これらのフィルターの中で、どれを選択するのがいいでしょうか?
正直、どれを選んでもいい感じの写真にはなると思います。
どれを選んでもいい感じに見えてしまうのです。
もしもここで迷ってしまうと、なかなか先に進めず、最悪の場合よくわからない写真が出来上がってしまうことになりかねません。
こんな時、「編集の目的」が正解を示してくれます。
編集の目的とは、何のために編集をしているのか?ということです。
編集とは、元々のオリジナルをいじることです。
いじるということは、余計に手を入れることにもなります。
正直今回の例で言えば、オリジナルの時点でいい写真だと思うし、無理に編集をする必要はあまりありません。
ではなぜ編集をするのか。
ここでは、「卒業の”おめでたさ”を強める」という目的を用意してみましょう。
つまり、卒業式感を出しまくろう、ということです。
卒業式といえば、「咲き始めた桜」「和服」「笑顔」「キラキラ感」などが連想されるかと思います。
今回の元の写真にも、桜と和服、笑顔が含まれています。
今回の目的は、それらを強調、つまり目立たせることで実現できそうです。
では、まず桜について見てみると、
このフィルターは桜の存在感を消してしまっているので、論外です!
次に、「笑顔」と「和服」に関しては、残りの3つの候補全てで目立っているので、OKとしましょう。
最後に、「キラキラ感」を考えると、1つ目と2つ目の例は彩度が低く、「キラキラ」というよりは落ち着いた印象を与えてしまいます。
よって、今回は一番最後の色で決まり!ということになります。
これです。
目的を設定したことで、迷わずに色を選択することができました。
もしも編集の目的が「懐かしい感じを出す」というものであれば、今回のフィルターは不正解、ということになり、1つ目もしくは2つ目のフィルターが正解、というふうになります。
つまり、色は編集の目的によって決めるべきであり、何となくの印象で決めようとするととても難しくなってしまいます。また、目的によって色の正解が変わるため、様々な色味の良さを知っておくことも重要になります。何にでも使える万能フィルターなど存在しないのです。(持論です)
写真の切り取りと傾き調整
ここまでで写真の色を編集しました。
正直この時点でかなりいい感じですが、もう少し魔法をかけてみます。
次は、写真の切り取り(クロップといいます)をしてみます。
クロップは、基本的な編集過ぎて軽視されがちですが、自分が普段編集するときには一番気を遣っています。
VSCOでは切り取りと傾き調整を簡単に行うことができます。
(以下の編集画面)
この編集画面では写真の右側を切り取り、4人が写真のど真ん中に来るように調整しました。
上のように切り取ると次のようになります。
メインの被写体がど真ん中にくると、より被写体に目がいくようになります。
ではこの写真の上半分を見てみましょう。
奥には道路が見え、車や通行人の姿が見られます。
また、4人がいる通路の奥にも歩行者がいることがわかります。
では、この写真にクロップを行い、少し印象を変えてみましょう。
4人だけが目立つように、上半分をクロップでカットしてみました。
どうでしょうか。
車や通行人が見えなくなったことによって、4人だけの世界に見えてきませんか?
ただここで1つ改善できるポイントがあります。
それは、右上の通行人の足です。
映り込んでいるのはほんの少しですが、このほんの少しを隠すことで、さらに魔法を強化することができます。
どうでしょうか。
足が完全に見えなくなったことにより、もはや歩道であることすらわかりません。
4人だけの世界感が増したのではないでしょうか。
ここで、編集の目的が先ほどと同じ「卒業式感の強調」だとすると、写真左上の桜をもっと目立たせると良さそうです。
ただし、今のままクロップの範囲を上に伸ばすと、再び歩道の通行人の足が映り込んでしまいます。
ではどうすればいいかというと、傾きを調整することで通行人を隠したまま桜を多く見せます。
こんな感じです。
ちょっと反時計回りに回転させて、上にクロップの範囲を延ばしてみました。
すると桜の映り込む面積が増え、桜の存在感がより増したと思います。
ここまで、色とクロップ、そして傾きの調整を行いましたが、元の写真と比べると印象は全く変わっているのではないでしょうか。
ではもう少しクロップの威力を見てみるために、別のクロップをお見せします。
被写体の4人以外の要素を全て切り取ってみました。
完全に4人だけの世界になっていると思います。
写真が与える印象は、「仲良しで楽しそうな4人組」「和服が綺麗」、といったかんじでしょうか。
編集の目的が「最高に仲良しなところを映す」もしくは「和服の良さを紹介したい」などであれば、ここまでやって完成と言えるでしょう。
他には、
こんなのもできます。
もはや「Twitterのヘッダー用に撮った写真」と言われても違和感がないと思います。
これは、極端に横長にクロップし、4人以外の要素を完全に消し、4人の笑顔のみが目に入ってくるからだと説明できます。
どうでしょうか、使用している写真は1枚だけですが、色とクロップを行うだけでいろいろな印象に変化したと思います。
これが編集の持つ力、魔法です。
編集によってどんな印象にも操作できるため、編集の種となる目的が重要だということがわかると思います。
まとめ
今日は、写真の編集のコツということで、目的が大切である、ということを書いてみました。
よりわかりやすいように、色とクロップによる編集の例を示してみました。
目的によって編集が全く変わること、そして編集によって印象が全く変わることが伝わりましたでしょうか。
自分が普段写真の編集をするときは、常に編集の目的を意識しています。
この編集は、被写体の顔を目立たせるためにあるのか?
それとも背の高さを見せるのか?
背景の美しさを強調するためなのか?
その写真を見返して笑いたいのか?泣きたいのか?
編集の目的の重要性を理解した後は、目的を達成するためにどんな編集が必要なのかを瞬時に思い浮かべられるようになることが上達の鍵です。
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
みなさんも是非、写真の編集に手を出してみてください。
そして、目的を意識してみてください。
そうすれば、自然と編集の過程が編集前から見えてきます。